お望みの串かつ
平成が始まる何年か前の話。 ティーンエイジャーになる直前の大切な季節を迎えた子供たちは、自分らの町でしか遊ぶことなどなかったこれまでに見切りをつけ、自転車という高速移動手段を用い、西へ東へと、隣町やそのまた隣町へと行動範囲を広げていった。そしてあるとき子供たちのお気に入りの場所になったのが、三和市場だ。東灘区の深江にある(あった)三和市場。 そこには、小学生からよっぱらい、とにかく幅広い客を相手にする、サイキョウの串かつ屋があった。お店の名前は記憶にない。子供たちは、“三和の串かつ屋”と読んでいた。そのお店では1本30円で串かつが食べられた。ブタでもイモでもチクワでも、タマネギでもピーマンでもとにかく1本30円。 家の食卓の小銭を黙ってポケットに忍ばせれば、それだけでもうブタとイモとタマネギの豪華カルテット(トリオやよな、恥ずかしい。)が食えた。間違って大銭なんていただいてしまった日には、各2本の計10本とチェリオの最強セットでおつりが来た。それが俺らの生きた昭和という時代の最後だ。
そして時は過ぎ、阪神大震災が昭和の思い出を奪った。
さらに時は過ぎて、昭和と平成の競馬全盛期を駆け抜けた河内のおっさんの引退レースを見るための京都遠征最終日。 たはらと共に、河内のおっさん引退式を見届け、なんとも言えない気分で神戸に戻り、およそお決まりの末廣店長、しげとん、たはら、俺、そして後ほど西園くんとトモ子婦人とで、1本80円からの串かつ。お店の名前は『大和』。場所は国道2号線から十二間道路を南に下りてすぐのところ。ここで時を取り戻した。
確かに時は流れました、そしていろんなものを失いました。しかし、それでも取り戻せます。思い出を思い出しながら食べるのです。やはり串かつは我々の思い出の味です。たとえ店が違っても、その気持ちと仲間とで、思い出せます。安くて美味いのが良いところ。ブタやらタマネギやらチクワなんかをガツガツと食いながら、昔はチェリオを今はビールに変えて子供たちが昔話や今話に花を咲かせるわけです。ちゃんとソースも二度浸け禁止です。アツアツの串かつにソースをどっぷりつけてジュワッとしたのをガツガツッといってください。『大和』というお店なら、俺らはその思い出しができます。
みんなパーッと嬉しくなれます。でも、乗るなら飲むな。飲むなら乗るな。
『大和(神戸市 東灘区)』【串かつ】
[〈元〉平成15年2月23日(日) / 平成15年8月15日(金)]
レアーなチーズケーキ
カワウィー系エミちゃんのおともだちのこれまたカワイイ系のユミちゃん手作りのレアチーズケーキをみんなで(っても俺以外には食ったのはカーネルさんぐらいか?)頂いた。まあたくさん作ったその残りを頂戴したわけですが、それでも、めったに作らないらしいのでまさしくレアーなわけです。いやまあ、美味いというよりも美味しい。ホンマ、ようこんなに上手に作るわな。ちゃんとバニラビーンズとか入ってたりするんやもんなあ。香りも良いし、上のチーズの部分もしっかりしてたし、粉っぽくないし。ちゃんとケーキになってるんやもん。女の子ってのは凄いね。たいしたもんです。
『−−−−(東京都 八王子市)』【レアチーズケーキ】
[〈元〉平成15年1月27日(月)]
タスマニアサーモン
平成14年の食の最後にふさわしいお店、大衆酒場“魚崎金盃”の登場。しげとんと平君、そして田原と俺とで、その田原のおっちゃんが営むお店“魚崎金盃”での大晦日の忘年会が今回の食。
超がつくほどの身内のお店ですが、ここは本当にすばらしい。店主のおっちゃんのこだわりっぷりがすばらしい。あまり褒めるのもいかがなものかと思われそうですが、それでもすばらしいものはすばらしい。
まず、おっちゃんのお気に入りと思われるタスマニア産サーモンとカンパチのお造りを頂いた。わりと平気でカナダ産や国産ものを生食で出す店があるが、よほど注意しないといけない。何故かは書かない。調べればすぐにわかります。というわけで、タスマニアの素晴らしく綺麗な澄んだ水で育ったサーモンだけが、実は唯一生食に適していると言われている。この辺をしっかりと把握している大衆酒場の店主であるおっちゃん。凄いよな。 次に頂いたのはガシラの煮付け。小ぶりの白身魚だ。味付けは関東風の甘めの濃い醤油。しっかり煮付けられてて美味い。さらには穴子とキス、クワイの天ぷら。白身魚の天ぷらは美味いな。俺はハゼが好きだかキスも好き。大好き。実に良い。穴子も好きやけどやはりハゼやキスにはかなわない。だって穴子は味がわかりやすいもん。脂がキツイこともあるし。そのてん、ハゼやキスは上品なことこのうえない。ホンマに上品。クワイもええよ、もう。 そして締めはオリジナルの中華風豚足にもずく酢、だし巻き。 ホンマ、最後の締めまで堪能しきりのおっちゃんオリジナルのフルコースでした。
どう考えても初めての人が入れるような店面じゃないんですが、もし近くに立ち寄るようならば、入ってみるといいことあるかもしれません。いや、ホンマに。
『魚崎金盃(神戸市 東灘区)』【タスマニアサーモンの刺身】
[〈元〉平成14年12月31日(火)]
ビックリビックリ
ええ、確かにここは、食について語っているページです。とはいえそんなに頻繁に美味しい食にありつけるなんて、、、、ありえません。いいえ、ありえません。 この食は、ひゃっほーい!めっちゃうまいからいこうぜー!!!などと騒ぎたてるもんではありません。でもね、ビックリするからオススメ、そんな食です。
そのお店は、お初天神通りの路地裏のクネクネとした道を進むこと数分でたどり着くお店。「のんべえ村」。お世辞にも綺麗とは言えない。オトナなというかオッサンな飲み屋。安さに美味さを感じる大阪の店。そんな飲み屋でビックリな、やまちゃんとそのお友達のゲトメ氏と吉田(裏)氏、そして何処にでもいる田原と俺の5人での晦日の忘年会。 もうね、とにかくビックリ。ビックリすることが多い、多い。バババっと書いてしまうのは簡単ですが、そうすると折角行ったときのビックリが半減するので言いません書きません。だって、ねえ。 まあとにかく、9つしかないベスト10とか、2度ビックリするサラダとか、メニューに載ってるけど無いメニューとか、時間差の天ぷらとか、自慢のだし巻きとか。とにかくビックリ。 ビックレ。ビックってこい。そして、縁はあるのでまたご一緒に。
『のんべえ村(大阪市 北区 曾根崎)』【ビックリサラダ】
[〈元〉平成14年12月30日(月)]
(オススメの一番 梅田編)
どうにもタイトルが思い浮かばんので、括弧をつけてオススメの一番とかしてみました。とりあえず俺が行ったことのある大阪梅田のお店の中で一番だと思っている(平成15年8月1日現在)お店、『四季彩膳 和S』。まあ大阪梅田のお店はそんなに詳しくないので、信頼性には欠けますが、皆さんにとっても美味いお店であるはず。一番ではないかも知らんけど。というわけで本題へ。この食は末廣店長と平君と田原と俺との食より。
このお店、料理がめちゃめちゃ美味い。ビックリした。 例えば「スモークサーモンと白菜のサラダ」。白菜を生のサラダで食べさせるわけですが、普通白菜なんざ生で食いませんよ。いや、食えないですよ。でもしかし、そんな白菜が実に甘く、それにスモークサーモンの塩っけがその甘さを倍増させる。ほら、もう食いたくなったでしょう。 他にも例えば「ネギたれの鶏から揚げ」。あっつあつのから揚げに、白髪ネギと甘辛いタレがかかったアレです。割りと良く見ます。しかし美味い。あっつあつですから。 もうひとつおまけに例えば「阿波尾鶏の串」。いわゆる阿波の地鶏でしょうが、この地鶏はとてもとてもやわらかい。お口でとけちゃうとまでは言いません。でもそれに近い。タレも素敵。 くどいようでもさらに例えば「ぶり大根」。お店のお兄さんの超オススメ、でもこんなもん、言われんでも美味いのは皆さんのほうがご存知でしょう。 これらの美味い料理に合うお酒も、とにかくいいのを揃えてます。特に日本酒、非常に気をつかってらっしゃる。良い地酒が豊富。
結局、4人で4時間、散々飲み食い散らかしました。お代は結構なもんやったけど、「それでも安いよなー!」なんて末廣店長とニコニコ喜んでたような記憶がある。
『四季彩酒膳 和S(大阪市 梅田)』【白菜のサラダ,阿波尾鶏,酒】
[〈元〉平成14年12月21日(土)]
魔法のプリン
さて、本日は魔法のプリン。その魔法のプリンが置いてある『夢客舟』というお店ですが、こちらお昼はランチを食べさせる、夜はお酒を飲ませる、といったお店。
俺が食ったのはそこのランチメニューの一品『日替わり』です。日替わりなんていうぐらいなので、料理の内容は日によって違うはずです。俺が食ったのは、牛コロッケとメンチカツの定食。800円。言うてみりゃただの揚げ物定食なんですがね、美味いんですよこれが。 まず最初に牛コロッケを食べました。いわゆるお肉屋さんのコロッケです。言わなくてもわかる。ジャガイモはホクホク、コロモはサックリ、そういうやつです。ホクホクのサックリです。 次、メンチカツを食べました。メンチカツをお箸で割ろうとして真ん中にサクッと挿すと、肉汁がジュワッです。サクッのジュワッです。ビックリしました。サクッのジュワッです。 付け合せがですね、ナポリタンとポテトサラダです。ナポリタンはなんてことなかったんですが、また、良いのがポテトサラダです。ジャガイモの形がわりとシッカリ残ってるタイプのやつです。 ご飯の量がね、男女差別、区別です。気が利いてます。男性は丼で出してくれるんです。女性は普通のご飯茶碗。
さて本題の魔法のプリン。どんなプリンか。知りません。わからないんです。何故か。食べてないから。定食だけでおなかいっぱいというオチでした。食えば食えるんやけど。次回のお楽しみ。
お店の場所の詳細、JR駒込駅すぐそば。
『夢客舟〔Yume Kyaku Sen〕(東京都 豊島区)』【コロッケ,メンチカツ,定食】
[〈元〉平成14年10月5日(土)]
心のお布施
「心のお布施」。とあるお坊さんの言葉です。俺の宗教観とかそんなのは置いといて、お坊さんの言葉にどれほどの説得力があるなんざ、知ったことではないです。ないんですが、しかし、「心のお布施」は必要なんです。大切な人のために。この世から旅立った、大切な人のために。そう言われると、なんか心にくるもんがないですか? というわけで、今回の食はちょっと妙な始まりで、ビールについて語ってみようというもの。でもこの雰囲気はもう少し続きます。
平成14年5月25日。俺が今なお尊敬する伯父さんのお葬式でした。伯父さんにお経をあげてくれて、そして、残された遺族に「心のお布施」という言葉をくれたのが、そのお坊さんです。 お布施とは、この世から旅立った人が仏になるために必要なお金のことです(確かそうだったと思う)。お布施をお坊さんにお預けすることで、お坊さんは仏になるためのお経をあげてくれるのです。それができない遺族の代わりに。まあ何にせよ、金が必要なわけです。正直な話。しかし、それができない人はどうすればいいか。そこで必要なのが、金ではなく、心のお布施なんだそうです。「金は必要だけれども、それにもまして心が必要だ。」「大切な人を思う、思い続ける心こそが必要だ。」そんなことを、我々に説いてくれたわけです。 この言いっぷりに、なんとも言えない感覚を覚えました。ええ。
というわけで、その話をビールにからませます。 伯父さん、そりゃもう大変なビール好きで、もう毎日の晩酌にビールを欠かさない人だったんですが、大病を患ってからというもの、それができなくなってたわけです。そして大好きなビールを断ったまま、この世を旅立ってしまった。 そんな伯父さんのお式の精進落しで、出してくれたのがビール、しかもスーパードライ。 ご存知な人はご存知ですが、俺はスーパードライが大嫌い。(何が本当かは置いといて、あえて書かせてもらいますが、)本当のビール飲みなら、スーパードライなんざ飲まないでしょうよ、たとえシェアナンバーワンでも。もっと良いのがある。でもね、俺の目の前にそのスーパードライが出てきた。伯父さんはキリンが好きだったはず。ええ。ですが、スーパードライだって伯父さんが飲みたくてしかたなかったビールであることには違いないわけです。伯父さんが、尊敬する伯父さんが飲みたくて飲みたくてしかたなかったビールを、嫌いだからなんてつまらん理由で飲まないなんてわけにいきますか?だから飲みました。美味しく飲みました。伯父さんと一緒に飲みました。乾杯して飲みましたよ。 この日以来、口では割と文句を言うとりますが、俺は出されたビールは銘柄に関係なく飲んでます。それが、俺のできる、伯父さんへの心のお布施だと思っているからです。俺はエビスが好きです。黒ビールが好きです。つまり、昔ちっくなあのビールが好きです。でもスーパードライが出てきても、飲みます。美味しく。
『−−−−(茨城県 守谷市)』【ビール(アサヒスーパードライ)】
[平成14年5月25日(土)/ 平成15年7月16日(水)]
師父の茶と小籠包
何故にアレほどまでにつらい思いをして、飛行機にのって、しかも海外で、さらには非英語圏、の台湾に行かなくてはならんのか。なんて考えてましたよ。行くと言うてしまった手前、行かざるをえなくなったというか、なんというか、いつもながらの適当な考えがこういう事態を招いたわけです。でもね、結局のところ行ったら行ったで思うのは、“うぉー、行ってよかったー!”なわけです。つらい思いなんて、それもこれも、師父の茶と小籠包に出会うためだったわけです。 そんな台湾旅行は、谷藤さん,月江さんと共に。
さて、早速、お茶のお話。 台湾二日目の夜。夜が特にアツイ台湾の台北市を探索中、相変わらず行動が適当な谷藤さんの先導で偶然入ったお茶屋『和春茶行』にて、我々は、茶の師父、陳峰男に出会った。陳師父は、我々をただの貧乏観光客として扱わなかった。茶のピンからキリまでをご馳走してくれた。そして陳師父は、我々に「お茶を楽しみなさい。」という詞をくれた。 高山茶と凍頂茶をご馳走になったわけですが、それはもう、普通ランクのものから超高級ランクのものまで、いろんなお茶を教えてもらい、そしてご馳走になりました。して、どういうものがいいお茶なのか。いいものになればなるほど、香りを味わえる時間が長い。そしてお茶を煎れたあとの茶葉の形が大きくて綺麗なんです。そしてその茶葉は食べても美味いんです。にこやかな顔の陳師父とその奥様は、そう、我々に教えてくれました。台湾語と英語と日本語の三ヶ国語を使い分けて。 高山茶や凍頂茶、特に高山茶の味は、一般に我々の知るあのウーロン茶とはまったく異なります。そう、烏龍茶は烏龍茶、ウーロン茶はウーロン茶。高山茶は高山茶。凍頂茶は凍頂茶。別物です。日本茶だって産地によって味違いますから。当たり前といえば当たり前。そんな当たり前をこれほどまでに明確に体験できるとは思いませんでした。よく知るウーロン茶と日本のお茶は違いますよね?それは皆さんもご存知の通り。そして、ウーロン茶と高山茶、そして凍頂茶もそれとおんなじぐらいに違います。俺の感覚としては、特に高山茶は日本のお茶に近いです。高山茶と烏龍茶の間に凍頂茶。そんな感じ。このお茶はハマリます。
そして小籠包。この話にも陳師父は関係しています。 お茶のイロハを教えてくれた陳師父、散々いいお茶をご馳走してくれた挙句、「明日、本物の小籠包を食わせてやろう。」みたいなことを言うてくれたのです。 というわけで、お茶をご馳走になった次の日、我々はお言葉に甘えて、小籠包をご馳走になりました。小籠包をご馳走になったお店、『五條 (湯火)皮小籠包』。このお店の名前、日本の文字コードでは出力できません。「湯火」は、ホンマは「湯」の下に「火」を書きます。 さて、味。もうね、これぞ本物の小籠包。日本の普通の小籠包なんざ比べものになりません。だってほとんどが冷凍ですからね。このお店は違います。もう、口に入れたら、当たり前のようにアッツイ、とにかく熱々のスープが、もう、もう、もう、ジュワァっと溢れてきます。口の中、ヤケド確定。これね、皮がしっかりしてるからなんですよ。皮がしっかりしてるから、熱々のスープが味わえる。変な話、ヤケドしない小籠包なんか、そりゃ偽もんです。 まあ、なんでこのお店がこんなに美味いかって、それは手作りやからです。そんなに広くない店の中で、店主自らが目の前で皮に具を包んでますからね。誤魔化しようがないわけです。というよりも手作りが当たり前なわけです。別に誤魔化すこともしやしないでしょうよ。だから美味いんです。手作りが当たり前なら、美味いのも当たり前。韮餃子などの他の料理もご馳走になりましたがそれもまた美味い。何故って手作りやから。当たり前。
陳師父とその奥様、その関係の皆様に本当に感謝いたします。谷藤さんと月江さんにも。ホンマ連れてってくれてありがとうございました。
我々が茶と小籠包を堪能した、その1ヶ月とちょっと後、偶然にも社員旅行で台湾に行くという田原に、陳師父へのお礼を託しました。そして田原も、やはり同様に陳師父にお茶をご馳走になり、しっかり茶にハマったようです。
次はいつになるかわからんけど、必ず行く。飛行機はこわいけど。
『和春茶行(台湾 台北市 康定路148号)』【茶】
『五條 (湯火)皮小籠包(台湾 台北市 長安東路一段53巷10号)』【小籠包】
[〈元〉平成14年3月21日(土)]
いきなりだんご
ひょんなことから2年近く思いつづけてきた噂の和のスイーツ、いきなりだんご。熊本の名物であるいきなりだんご。“いきなり”に絶大なインパクトを感じつつも、どんなものなのかは、知らなければまったく想像がつかない。小倉での学会を利用して、熊本まで足を運び、現地でいきなりだんごを食ったというのがこの食の話。
いきなりだんごとは、簡単に言えば、「あずきと唐芋をお団子で包んであるお菓子」である。団子と名乗るからには団子であろうが、饅頭と言われてもなんの問題もないような形。この辺が知らない人には不思議なところなのかもしれない。ちなみに唐芋とはサツマイモのこと。
さて、この旅では短時間で多くのことを実現した。朝。熊本に到着した俺は、加藤清正公の築いた熊本城を攻めた。アップダウンが激しくてしんどい。俺が武将なら攻めたくない。さすがは守りの城。さすがは加藤清正公。 昼。熊本でしか食えないという中華料理「大平燕(タイピーエン)」を『桃源』というお店で食う。場所は、路面電車停留所『熊本城前』を東にちょっと行ったところの筋の奥。どんな料理ってえと、麺類です。それ以外の詳細は秘密。現地に行った人だけのお楽しみということにしておきます。ボリューム満点よ。 そしてついにいきなりだんごを食べるとき。おやつどき。雨の中の水前寺公園で、不思議な猫と素敵なカップルに心を癒された俺は、いきなりだんごにさらに癒されることになる。水前寺公園を出てすぐのところにあるおみやげ屋で蒸したてのいきなりだんごをもらう。雨の中を歩きながら熱々をほおばる。粒餡と唐芋を包む皮はモチモチっとした食感で心地いい。ただし熱々。その皮の中から、さらに熱々熱々な粒餡と唐芋。粒餡のサラリな甘味と、唐芋のホクホクな甘味が良い感じ。皮のごくわずかな塩っけによって甘さがもっともっと良い感じ。ホクホクのアツアツ。アツアツのホクホク。ホンマに「あとはお茶が怖い」。 夜、熊本駅で熊本最後の時を過ごす。神戸に到着するための一番最後の列車にて、熊本を後にした。 いきなりだんごの存在と美味しさを俺に教えてくれた東さん、本当に感謝しています。熊本ではお世話になりました。ありがとうございました。
『−−−−(熊本県 熊本市)』【いきなりだんご,大平燕】
[〈元〉平成13年9月12日(水)]
ガツガツ北京ダック
大学時代からの我が友ヒゴが、どうしても俺の実家のある神戸(というよりもユニバーサルスタジオジャパン)に行きたいとかで、ヒゴの盆休みに合わせ、俺の里帰りを利用して神戸に連れてきたことによって生じた、最強の北京ダックをたらふく食ったというお話。
その日、我が両親は、東京から来たヒゴへの歓迎の意を中華料理への招待という形で表した。長期休暇の度に我が家を訪ねて東京に出没し、その関係からヒゴとも接点を持つ田原も、ロボット系エンジニアとしての仕事が忙しい中、たまたま時間が空いていたということでヒゴウェルカム中華に参加した。 我が両親が連れて行ってくれた中華料理屋、関西のローカルテレビ番組“ZIP探偵団”に登場したことがあるらしい。まあ我が両親も、それを見て食事しに行ったら、まあ随分と満足したことから、今回も行ってみようということになったようだ。 さてそのお店、4人以上で食事を すると、北京ダックを丸々一羽焼いて、それをそのままお頭付きで出してくれるという豪快なお店である。つまりは最低4人いなければ、丸焼き北京ダックを拝むことはできないというわけだ。多くのお店では、北京ダックといえば、お上品にひとつひとつカオヤーピンに包んだものを出してくれる。しかし、このお店、そんなことは自分でやる。ここが、ここが重要。これはつまり一枚のカオヤーピンに包み込む、ダックとその薬味のネギ、そして甜麺醤(みそだれ)の量をすべて自分で決められるということである。 なにをおいてもこれは嬉しい。そりゃまあプロが適量を見極めて包んでくれたものも美味いには違いない。しかし、自分で包むことで、より自分の好みに合致した自分の美味さが味わえる。それが嬉しい。そしてなにより、あれだけの量の北京ダックをそりゃもうガツガツと、さらにガツガツと、どんどんガツガツと食えるのが嬉しい。とにかくガツガツ。もうね、ヒゴも田原も俺も、そりゃもう、一心不乱もいいところにガツガツと食いました。なんの遠慮も見せずに。それぐらい美味い。 よく番組をチェックしておいてくれた。そしてよく連れて行ってくれた。さすがは我が両親。ありがとうございます。
このお店、お勧めです。というよりもお勧めしか“食”にはのせてませんが、とにかく勧めます。ぜひ行くべきです。しかしながらそのお店の名前、覚えてません。まったく。紅だか宝だか石だかの漢字が入ってたような気がしますが、およそさだかではないです。場所は阪急三宮から北西。あまり北には行かない。JR元町駅に割りと近い感じがする。トーアロード付近。記憶にあるのはこれくらい。なんとか探し出して、行ってみて下さい。 北京ダック以外の料理ももちろんのこと美味いです。我が両親が複数回行くぐらいですから。但し、パクチー(香菜)が苦手だとちょっとやばい可能性はあります。
『????(兵庫県 神戸市 中央区 三宮〜元町)』【北京ダック】
[〈元〉平成13年8月15日(水)]
じゃじゃめん
じゃじゃめんとは、岩手県盛岡市が世界に誇る三大麺料理のうちの一つです。ちなみに残り二つはわんこそばと冷麺。
さて、俺がそのじゃじゃめんを岩手は盛岡その本場で食えたのは、ある人たちのおかげなわけです。
一人はカワウィー系な後輩のエミちゃん。彼女が実家のある秋田にタイミングよく車で帰省してくれたおかげで、大したお金を使うことなく、ついでに岩手まで連れてってもらえました。免許を持たない俺はそりゃあもう申し訳ないと思っていたので、別に免許がなくても法律違反ではありますが車は運転できますから、何度か交代を申し出たわけです。しかしまあエミちゃんは、それを受け入れるはずもなく、結局お盆の大渋滞の中、12時間も一人で運転してくれたわけです。ホンマにありがたい話です。 もう一人は谷藤さん。谷藤さんの進言のおかげで、長時間ドライブで岩手に行けたわけですし、そもそも俺がじゃじゃめんを食いたいと思ったきっかけを作ったのもそうです。時は5ヶ月前に遡る。谷藤さんは、岩手の土産と称して持ち帰りじゃじゃめんを俺らの前で調理し、そして食わせたわけです。まあそれがそれなりに美味かったわけです。とすれば本場で食えばどんだけ美味いだろうと考えるのは、まあ当然のことです。それに岩手では谷藤さんの実家でもお世話になりました。ホンマにありがたい話です。
感謝はこれぐらいにして、じゃじゃめんに話を戻しましょう。じゃじゃめん。知らない人のために解説しておくと、うどん麺の上に特製の肉味噌、キュウリ、ネギがたっぷりのって、つけあわせに紅生姜がのっている汁っ気のない食いもんです。これをよーく混ぜて、うどんに肉味噌を馴染ませて、ずぞぞぞぞーっ!!!とすすり食うんです。これが美味い。オイオイキュウリかよーとか思わせながらも、肉味噌が非常に強いので、食ってると感じるキュウリのさっぱりがすごく嬉しいわけです。そしてたまに噛む紅生姜、これも重要。この組み合わせがありえなく思えて実はありえる。必要条件。 そしてうどんを食い終えたら次はちーたん。ちーたんとは、うどんを食い終えたあとに皿に残る肉味噌を生卵で溶き、それにアツアツの茹で汁を注ぎ込んだだけの超簡単な手抜きスープ。しかしまあこれがまた美味い。割と薄味なので、物足りなさそうな気がしますが、実はそれがちょうどいい。おなかのうどんとのバランスを考えてるスープなわけです。でも、皿にちょっとだけうどんを残しておくとスープとうどんを同時に楽しめてなんか得した気分になれる。これはすごく嬉しい。
そんなじゃじゃめんを、『紅醤(コウジャン)』と『黄河(コウガ)』の2軒をハシゴして食いました。谷藤さんも俺もお腹いっぱい。前者の方が若者向けチックな店構え、後者は老舗っぽい感じ。ちなみに元祖と呼ばれている『白龍(パイロン)』には行ってない。お腹いっぱいで行く気にならんかった。
今回もいろんな人のおかげの食でした。ホンマありがたい話です。
『紅醤(岩手県 盛岡市)』『黄河(岩手県 盛岡市)』【じゃじゃめん】
[〈元〉平成13年8月13日(月)]
ハゲ(カワハギ)の刺身
神奈川県景勝五十選のひとつ、三浦市は剱崎という、太平洋を南に、サンサンと照りつける太陽とそれをうけとめる海が心を躍らせるとてもきれいな浜辺での、バーベキューパーティーの話。メンバーは、景チャン、馬場君、小菅君、佐々木君、大森さん、オモちゃん、佐藤さん、そして俺。
バーベキューパーティーの話のくせに、タイトルがバーベキューのバの字も出ていないところがポイント。しかししかし、みんなでやったバーベキューが駄目々々やったかというと、そんなことはない。そもそも夏の海の浜辺でみんなでワイワイとやるバーベキューに文句をつけられようわけがない。美味いに決まっている。それに加えて、そんなロケーションでのバーベキューが、ちゃんと火をおこした炭火で焼かれたものなんやから、美味さはさらに倍。ネギと牛を交互に指したネギ牛串なんぞはもう絶品。そんなにいい材料ってわけでもないんやけどね。環境が違うと美味いわ。それにあわせるコカコーラ!ひゃっほい!! と、そんなバーベキューを差し置いて、タイトルがハゲの刺身となったのは、景チャンいわく、「自慢できる!」からである。知っている人は知っている(そうだ)が、ハゲというのは傷みが早い魚である。そのため、通常家庭において刺身で登場することはまずない。でも、よほど海に近いところに住んでたりする人なら食べたこともあるかもしれません。まあ、一般的には煮付けたものが多く、それ以外なら、お父さんの酒の肴で登場する干物ぐらいが関の山やろう。つまり、これほどまでに鮮度が命であるハゲの刺身を我々は食した。そこんとこが自慢で、タイトルになる理由である。 なぜ我々がそのハゲの刺身を食せたのか?というと、それは、馬場君が見事にハゲを釣り上げたからなわけです。ホンマにありがとう。お見事でした。そして、そのハゲを見事にさばいた景チャンもたいしたもんやよ。さらにはこの企画の責任者、みんなが愛する大森さんにも感謝してます。大型バイクで原付に先を譲るような乗り方をした小菅君、ニセ寿司職人の佐々木君、そして真っ赤な肌になるまでイワシを釣った佐藤さんもありがとうでした。
今(平成15年7月)思い出してもその当時の楽しさが妙な笑い顔で浮かんできます。
『−−−−(神奈川県 三浦市 剣崎)』【バーベキュー,ハゲの刺身】
[〈元〉成13年8月3日(金)]
焼肉(西八焼肉 編)
ついに特筆すべき焼肉屋を発見。 とんでもなく小さなお店で外見もあまり美しくないそのお店の名はずばり『西八焼肉』。西八王子の焼肉屋だからその名前を付けたのであろうが、少なくとも西八王子を代表する名前なわけやからたいしたもんだ。 さて、以前からあの店はひょっとすればひょっとするという、まるで根拠の無い勘(感)を抱いていた俺であるが、なんと俺の父親も同様の勘を抱いており、このたびタイミングよく父親が上京してきたこともあって、われら父子のその勘(感)を確認することになった。 そして、確認の結果は言うまでも無い。ひょっとした。上タンのその美味さたるや、これまでの人生の焼肉屋はもはや比較対象外。間違い無く半生で食べられる。食べてみればわかる。さらにはカルビ。今回は上ではなく並カルビを注文したが、これで並かという代物。他の店では間違い無く上。サシものってるが、肉の味もしっかりある。そんなカルビだ。 但し、値段は大衆焼肉店の1.5〜2倍。それを安いととるか、高いととるかはその人次第です。東京に住んでるならば、何度行っても良い店なので、是非行くべき。行くとき誘ってくれればご一緒します。
『西八焼肉(東京都 八王子市 千人町)』【焼肉】
[〈元〉平成13年6月2日(土)]
焼肉(一龍 編)
「まあ、とにかく美味い。その店は美味い。」説得力の無い説明が得意な田原にそれほどまでに言わせるお店、焼肉屋『一龍』。田原に連れられて、末っ子、大石さん、平くん、シゲトン、そして俺でその真偽を確認に行ったのがこの話。 結論から言おう。美味い。美味いものに説得力など必要ないことがわかる。全員が全員、ガツガツ食ったのを覚えている。ただし、このときのメンバー構成の都合上、文字通りの焼いた肉ばかりを攻めていたため、モツや刺身の美味さを確認することができなかった。
さて、あれから2年が過ぎ、桜花賞観戦のタイミングに合わせ、田原と俺の二人で、田原の奢りで食いに行ったわけだが、この日、俺は2年前の唯一の不満を解消するため、モツと刺身の美味さを確認した。 刺身、牛タンの刺身。まさしく新鮮さが命の代物。やっぱり良い肉出す店だ。凄い。しっかり脂が入ってるから焼いても美味いんやろうけど、良い肉の脂は人間の体温でちゃんと溶ける。口に入れたら溶ける。凄い。モツ系の焼き、コブクロ。これも新鮮じゃなきゃ食えない。食感、そしてタレの味。やっぱモツは美味いわ。 というわけで2年越しで『一龍』の肉の美味さをしかと確認した。良い仕事してるから良い肉は美味い。
『一龍(兵庫県 神戸市 兵庫区)』【焼肉】
[平成15年4月?日(?) / 〈元〉平成13年3月24日(土)]
ぶり大根〜北の国から
あるとき、ぶり大根を食べることになった。そのぶり大根は、余りもののお裾分けのそのまたお裾分けといった具合のものであるが、いずれにせよ、まあ食べることになった。 そのぶり大根を作ったエミちゃんは、俺に、およそぶり大根(しかも、そのぶりがアラときた!)を想像させることなどないような雰囲気をもつ、どちらかというと手作りチョコレートケーキなカワウィー系の女の子ですよ。 さて、まあそれはいいとして、驚いたのはそのぶり大根のお味。非常にしっかりとした味付けがなされていたわけです。今思い出しても印象が非常に強い。その辺はさすがに北の国秋田出身者という感じ。ま、味付けが濃いわけですね。でまあ、しっかりと昆布で出汁をとったりもしてたわけですから、それがまた驚きなわけです。ぶり好きとしても、大根好きとしても、ほぼ一般的に納得できる味でした。ホンマ、手作りチョコレートケーキな感じなのに、たいしたもんですわ。
この文章は、それから3年弱、平成15年10月21日の追記であります。彼女はずっとお付き合いをしていた彼とめでたく結婚し、もうすぐお母さんになる。ひょっとするともうなってるのかもしれない。元気なお子さんを生んで、しっかり育てて立派なお母さんになってください。って俺に言われなくてもなるでしょうよ。あんなに良いぶり大根を作るんやもん。
『−−−−(東京都 八王子市)』【ぶり大根(北の国から)】
[〈元〉平成13年1月?日(?)]
モツ煮込みとタンシチュー
小春日和のある日の話。それはもう良い天気に唆されたわけではないが、仕事を休むといっていたヒゴに併せて、学校の早退を前もって決めていたそんなある日の話。 ちょっとした小々々旅行が始まってまもない頃、ただただ昼飯を食うために途中下車した町田で、『かなえ』を見つけた。今思うとこれは随分と衝撃的な出会いだ。ホンマに何の気ない偶然。普通では進もうとしない、店屋もくそもなさそうなそんな細い道に、俺らはそりゃもう必然的に足を踏み入れた。そんな偶然。 どうみても一見さんお断りなたたずまいのお店。とりあえず外見は汚い。でも入る。案の定、常連さんがいっぱい。中見も汚い。 でもですよ、でも、でも、俺の食ったモツ煮込み、、煮込みに煮込まれたがゆえのそのコク、やわらかさ。美味い。ああ美味い。今でも。そしてヒゴの食ったタンシチュー、俺、食ってないのに、見ただけでノドが鳴るような、やわらかそうなあの感じ。 もう店の場所もわからん。行きたくても行けるかどうかわからん。だから、行ける環境にある人は、是非いっとくべきです。
『かなえ(東京都 町田市)』【モツ煮込み】
[〈元〉平成11年11月22日(?)]
もりそば(萩ノ茶屋 編)
田舎に帰るとほぼ確実に行くお店が『萩ノ茶屋』。愛媛県新居浜市では割と有名なお店です。 根っからの蕎麦っ食いの父親とよく行ったもんですが、我々父子の場合、お店に入るともりそばを並みで各々が2枚ずつ注文。そしてもりそばが出来上がるまで、おでんを食います。牛すじと厚揚げと大根。父親は歯が強くないので厚揚げぐらいしか食わない。 さて、その味ですが、牛すじはそのものがもう美味いですし、厚揚げと大根なんて、おでんの他の食材の味を吸収しとるわけですから、もう、美味いのがもう当たり前。とにかく、おでんで、そばのためにお腹を空かせるわけです。 そして登場のもりそば。俺はもう薬味とか絶対入れません。当時、この文章を書いたのは8月だったようで、すると新そばの直前の時期なので古そばしかないはずなんですが、それでも薬味は入れない。薬味は大事なそばの味と香りを消し去ります。例えそれが古そばであったとしても。しかしながらこのお店、北海道から、早い時期にできる新そばを仕入れていたはず。そんな記憶が残っている。できるだけ新そばを客に食わせるように配慮していたはずです。話を戻します。 とにかく薬味も何もいれず、あっというまに食い終えてしまうわけです。んで、ちょっと待つと、あらかじめ頼んでおいた2枚目がくる。そしてそれもあっというまに食い終える。 大盛を頼まずに並みを2枚ずつ注文するのは、できる限りの茹で立てを食いたいという俺の父親のこだわりなんです。
『荻ノ茶屋(愛媛県 新居浜市 市役所通り近く)』【そば,おでん】
[〈元〉平成11年8月?日(?)]
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